海老名駅から南にくだること15分。海老名市南部は、昔から変わらない田園風景が残る、のどかなエリアです。海老名市の南部、中野地区に位置する清水鶏園では、豊かな環境のもと、たくさんの鶏を育て、卵を生産しています。地産地消を推奨する海老名市ですが、海老名に養鶏場があることは、あまり知られていないのではないでしょうか?
そこで今回は、海老名市や近隣エリアでパン教室を主宰するひろこさんと、海老名で唯一の養鶏場「清水鶏園」を訪ねました。
養鶏場をはじめて50年。今では海老名市唯一の養鶏場に
清水鶏園の清水敦司さんに話を聞いた。
海老名で養鶏場を営まれて何年になりますか?
50年と少しです。私で3代目になりますね。家族5人と3人のパートさんで成り立っています。
あ!鶏の鳴き声が聞こえてきますね!
奥にあるのが鶏舎です。
鶏舎の中にはたくさんの鶏が!
こんなにたくさんいるとにぎやかですね!朝は鶏の鳴き声で目覚めることもあるのですか?
ここにいるのは雌鶏だけなので、朝も静かです。鳴くのは雄鶏なんです。あまり知られていませんよね。
海老名市の養鶏場はここだけと聞いたのですが、以前はほかにも養鶏場があったんですか?
はい。この近くにもあったんですよ!今はうちだけになりました。
海老名産の卵があるということを知らない人もいるかもしれませんね。
そうかもしれません。卵に限ったことではありませんが、海老名の食が豊かであることを知ってもらえると嬉しいですね。
海老名市の農産物直売所は、えび〜にゃののぼり旗が目印。
太陽の光が差し込む昔ながらの飼育方法
やわらかな光が差し込む鶏舎
育て方は「開放鶏舎」と呼ばれる昔ながらの方法です。鶏は自然の光を浴びているので健康なんです。健康な親鶏が生む卵は栄養価が高く、おいしいといわれています。
この辺りは自然が残っていて、鶏にとっても良い環境!飼料にも何かこだわりがあるんですか?
飼料はトウモロコシや大豆などを独自に配合しています。こうして作られているのが「えびなのたまご」なんです。
ここにいる鶏は、1日に何個くらいの卵を生むんですか?
基本的に、1羽の鶏が生む卵は1日1個です。平均して1日12,000個ほどを集卵しています。
ということは、12,000羽の鶏がいるということですよね?そんなにたくさんの鶏がいるんですね。
これでもうちは規模が小さい方なんですよ。
「えびなのたまご」にはどんな特徴がありますか?
お客様からは「味が濃い」「白身がおいしい」というお声をいただきます。割ってみると、白身が盛り上がっていると思います!
「えびなのたまご」が店舗に並ぶまで
取材当日に集卵された「えびなのたまご」。量に圧倒される。
「えびなのたまご」がお店に並ぶまでに、どんな工程があるのですか?
鶏が生んだ卵を集卵することからはじまります。一般的に、鶏は朝からお昼前くらいの間に卵を生むといわれていますが、機械ではないのでみんな同じ時間ではありません。午前の時間を使って、ひとつ一つ手作業で卵を集めています。
12,000個の卵を手作業で!
午後になると、ヒビが入っていないかなど目で見てチェックし、選別する作業をします。その後、洗ってパック詰めをしたら出荷準備が整います。
ここは機械を使った作業なんですね!
私が子どもの頃は全て手作業で行っていましたが、今は機械を導入しています。これでも一番小さい規模の機械なんですけどね。
卵を吸い上げ、移動させる機械
卵を吸い上げて動かしているんですか!?すごい!落ちないかドキドキしそうです。
卵を吸い上げることで、一気に移動させることができます。意外と落ちないんですよ!ここまでの作業は機械を使って行っていますが、最後のネット詰めは機械ではできないので、手作業です。それであっという間に夕方になりますね。次の日の朝早くに出荷をしています。
翌朝には購入できるのですね!新鮮で嬉しい!
ジャンボサイズの卵はひろこさんの手のひらサイズ
それにしても、こんなにたくさんの卵が並んでいるところを初めて見ました。こう見ると大きさもまちまちなんですね。
これは3Lに分類されるジャンボサイズの卵です。
わ!大きい。ずっしりしていますね。
ジャンボサイズの卵は、双子の黄身が入っていることもよくあります。
黄身が双子かどうか、卵を見て見分けがつくんですか!?
つきますね。大きい卵や細長い卵は双子であることが多いです。
「えびなのたまご」を購入したい!24時間卵が買える自動販売機!?
私は海老名グリーンセンター(JA直売所)で「えびなのたまご」を購入したことがありますが、他にはどこに置いているんですか?
海老名市のほかにも、近隣のJAの直売所でお買い求めになれます。地元の方は直売所も利用してくださいますね。
清水鶏園前にある直売所
さっきからあまり時間をあけずに次々とお客様がいらっしゃいますよね。お近くの方は気軽に新鮮な卵が手に入ってうらやましい!何時から何時まで購入できますか?
直売所は24時間開けています。夜遅くでも買いに来てくださる方がいるんですよ。
24時間!でもそれはありがたい…。夜に冷蔵庫を開けて「明日の卵がない!」なんて経験、みんなあるはず。
取材をしている最中も絶えずお客様が卵を買われ、空になったボックスも多い
白い卵と茶色い卵、どちらもあるんですね。サイズも色々!
親鳥の色で卵の色が変わります。味に大きな差はないですね。
「初産卵」と書かれているボックスがありますね。他の卵とは違うのですか?
「初産卵」の特徴は卵が小さいことです。親鶏がまだ小さいので。一般的なサイズでいうとSSくらいでしょうか。先程の3Lと比べると、2分の1程度しかありません。
16個入りの卵。どんな料理を作ろうか迷うひろこさん。
お料理によって使い分けができますね。せっかくの新鮮な卵なので、マヨネーズにしようかな!
「えびなのたまご」が食べられる飲食店は?
目の前で焼き上げられたふわふわのオムレツ(レンブラントホテル海老名「海老名の朝食」)
「えびなのたまご」が食べられる飲食店をぜひお聞きしたいです。
この辺りだと、レンブラントホテル海老名の朝食ブッフェ「海老名の朝食」で、オムレツや卵かけご飯にして食べることができます。シェフが目の前で卵を料理してくれるんですよ。
参考:元気の源は朝ご飯!シェフが目の前で焼き上げるえびなのたまご
これは魅力的!卵料理を存分に楽しめそうです。
海老名駅の近くにある高級食パン専門店「そして僕らはパン星人」の「たまごサンド」でも「えびなのたまご」が使われています。海老名以外でも、カフェのメニューやケーキの材料として、広く使われているんですよ。
卵は色々な使い道がありますよね。私のパン教室でも、惣菜パンや菓子パンには卵が欠かせません!毎回卵にはお世話になっています!
自然が多く残る南部からみた海老名
右手が鶏舎、左手には田畑が広がる
本当にのどかで落ち着いた雰囲気ですね。海老名の駅前しか知らない人は、ギャップにびっくりするんじゃないかな。
この辺りはあまり変わりませんね!物流の倉庫が増えたくらいで、あとは昔のままです。
向こうの方角が海老名駅周辺です。
高い建物がここからでも見えますね!
距離があるので、駅前開発は全く別世界のことのようですね。海老名市の南部で生活していると、あまり実感がありません。
この辺りは本当に空が広い!駅前からは想像がつかないような海老名の一面を、最近海老名で暮らし始めた人にももっと知って欲しいですね。
駅近辺は本当に便利になりました。その反面、この辺りは全く変わらない風景が広がります。都会と田舎、どちらも兼ね備えているのが海老名の良さですね。大切にしたいと思っています。