地名の由来は不明とせざるを得ませんが、『有鹿神社縁起』に「この郷本源入江にして…殊に海老の大なる有るを以ってこの海より美名得るなり」とあることから、かつて入江に大きな海老が生息していた土地の意ととる説があります。しかし、これは説話として受けとっておいた方がよいでしょう。語源的にいって、エビはイビ(ユビ)と同じく「節があって曲がっているもの」をあらわす語だといわれています。そこから転じて、「階段状の地形」を意味する地名語となったと思われます。すなわち、エビナは「段丘崖の目立つ地」ということになります。また、エビをイビの転訛とみる場合、イビはイボと同じく「怒る」「荒れる」という意味の方言として、各地で使われています。この説を採れば、「川が怒って(氾濫をおこして)できた土地」ということになります。いずれにしても、エビナ地名は平安中期から用いられていて、はじめは狭い小地域を指していましたが、やがて周辺の地名に拡大し、さらには郷名にまでなったものと思われます。
(海老名市史叢書7『海老名の地名』より抄録)
海老名郷五か村の最上部の村という意か。『元禄郷町』には、「海老名古者上村上之郷村」とある。上之郷の用例は明治初年の文書でも見られるところから上郷もカミノゴウと呼んでいたものと思われる。一説に、「上」とは式内社有鹿神社より北の意ともいう。
(海老名市史叢書7『海老名の地名』より抄録)