「きょう、ロマンスカーで。」 四季折々の箱根とロマンスカーの走行シーンに併せて2002年から続くキャッチコピー、ご存知の方も多いと思います。そう、ふと思いたったらロマンスカーで非日常の1日が手に入る、それは小田急線沿線在住者ならではの特権とも言えるでしょう。
2019年10月の台風19号の影響で運休していた箱根登山鉄道も、復旧予定より早めの2020年7月23日に運転を再開しました。今回は、山深い景色を堪能しながらのショートトリップに出かけましょう。
「貸し切り露天風呂と地元メニューで〝箱根ならでは″を満喫」
今回のリポーターは、小田急線沿線在住の田中みずきさんと納亜矢子さん。子育て中のお二人ですが、今日は息抜き、束の間の大人のショートトリップを楽しみます。
【ルート】
海老名駅から箱根湯本駅まで(ロマンスカー・49分)
箱根湯本駅から彫刻の森駅まで(箱根登山鉄道・35分)
彫刻の森駅から宮ノ下駅まで(箱根登山鉄道・9分)
宮ノ下駅から箱根湯本駅まで(箱根登山鉄道・26分)
箱根湯本駅から海老名駅まで(ロマンスカー・49分)
10:04 海老名駅発箱根湯本行きのロマンスカーに乗車
(以下:納)
横浜に住んでいた独身の頃は予定も立てずに1人でふらっと箱根に行っていたりもしたけれど、結婚後は全然。久しぶりで楽しみだわ~。
(以下:田中)
私も小さい頃から箱根神社が好きで思い出深い場所。でもずいぶん行ってないなあ。
ホームでもロマンスカーの特急券が買えるのね。
(*チケットはインターネットでも購入可能。https://www.odakyu.jp/romancecar/booking/)
平日は海老名からの箱根湯本行きの最初のロマンスカーが10時4分発だけど、このくらいのスタートがちょうどいいね。
来た来た!(ロマンスカーの姿にときめく)
今日のコースは宮ノ下中心って決めているけれど、車内誌には小田原や箱根の情報がいろいろ載っているね。
10:57 箱根湯本駅に到着、和菓子屋「ちもと」でお土産を購入
おしゃべりしていたらあっという間に箱根湯本に着いちゃったね。
ほんとに。箱根はどこもお店が閉まるのが早いから、ちょっと駆け足だけれど、登山電車に乗る前に湯本で先にお土産を買っておこう。
言っていた「ちもとの湯もち」ね。
そうそう!以前、お土産で頂いて衝撃的な食感とおいしさだったのよ~。箱根に行くなら絶対に買いたいと思っていたの。(笑)
わあ、いろいろな種類の和菓子があるのね。
和菓子って改めて見ると、そのお店の感性が表れていて趣があるね。
これが湯もちね。マシュマロのようなふわふわ感。見るだけでもおいしそう。中に細切りの羊羹が入っているのも珍しいね。
子どもにもあっという間に食べられちゃいそうよ。
あ、この椅子!ちもとの最中と同じだわ。かわいい!
ちもとのカフェもあるみたいだけれど、外でもお茶と和菓子をいただける広場があるのがいいね。
丸椅子の座面が鈴型の最中と同じデザインに
11:22 箱根湯本駅から箱根登山鉄道で彫刻の森駅へ
坂がすごいのが体で感じられるね。やっぱり登山鉄道だわ。何度もスイッチバック(進行方向を転換するジグザグ運転)があるのも山が険しいってことよね。
なんだろう、このワクワク感。子どものときの遠足気分と同じだわ。(笑)
どんどん山深くなっていくね~。
11:57 彫刻の森駅下車 麦とろ専門店「たむや」でランチ
彫刻の森美術館のすぐ手前に、気になる暖簾が!「麦とろ専門店」だって。箱根界隈は山芋がよく料理に使われるよね。ここでランチしましょう。(笑)
田村氏
(以下田村)
うちでは麦とろをメインにした小田原、箱根界隈のおいしいもの尽くしの「麦とろ御膳」一品のみをお出ししています。
おいしそう。とろろがうっすら茶色いのは出汁が入っているのですか?
小田原の老舗、加藤兵太郎商店さんの「いいちみそ」を合わせています。米麹や大豆の質はもちろん、箱根山系の地下水で仕込んだ上に、90年以上も使い続けている木桶で熟成させている味噌だからコクがあるんですよ。
まずはとろろだけで。うん!おいしい。出汁とはまた違う風味ですね。麦ご飯も久しぶりに食べるなあ。(笑)
箱根はそば屋が多いので、実はあえて麦飯を使用しているのもこだわりの一つなんです。体にもいいですし、とろろとの相性もいいので、こういう時にじっくり味わっていただきたいなあと思っています。 他にも強羅の「銀豆腐」や、小田原のかまぼこ、箱根山ろく漬けと温泉卵を添えていますので、ゆっくり楽しんでくださいね。
山ろく漬けって溜まり醤油のお漬物なのね。どれもこれも美味だ~。
食べた感がしっかりありつつ、ヘルシーというのが嬉しいね。(笑)
12:40 彫刻の森美術館に到着
彫刻の森美術館は箱根に来るたびに寄りたいと思いながら、ずっと実現できなかったから今日は嬉しい。
私もなのよ~。至る所に彫刻!約120点もあるんだって。想像以上に「大自然の中」っていう感じで、気持ちいい~!
オープンしたのが1969年って書いてあったから、私たちが生まれる前からあったのね。
ピカソ館はリニューアルしたんだって。300点以上ものコレクションをテーマで順次公開しているそうだから、定期的にくると、日本でもいろんな角度からピカソの仕事が観られるでしょうね。
はい!ここで一緒にフェルナン・レジェの「歩く花」と同じポーズ!(笑)
私たちも彫刻になってみよう。どれが本物でしょうか?(笑)
見どころが多いから足が疲れた~。
彫刻を眺めながら天然温泉の足湯で休憩しよ!
底に埋め込まれた石が足つぼを刺激していい感じ。(笑)
100円のミニタオルも記念になるね。
自然の開放感と大胆なアートの面白さとの両方を楽しめて、時間があっという間に過ぎたね。
全部ゆっくり観るにはもっと時間がいるね。
今度は子どもたちを連れて来よう。ここなら走り回っても気にしなくていいし。(笑)
14:38-14:47 彫刻の森駅から箱根登山鉄道で宮ノ下駅へ
今回の目玉はこれから行く貸し切り露天風呂!お友だちが教えてくれたから私も初めてなの。
早く入って汗流したいわ~。
温泉までは宮ノ下駅から徒歩10分くらいなんだけど、通りのウィンドウを覗くと写真館やアンティークショップとか、風情のあるお店が並んでいて楽しいね。
途中からは山沿いになるのね。
橋の下を見ると渓谷に吸い込まれそう。
15:00-16:00 底倉温泉 凾嶺(かんれい)で露天風呂を貸し切り
素敵な佇まいね。
昔は個人医院だったんですって。
こんにちは~。予約の田中です。
いらっしゃいませ。お風呂は一つだけで離れになるので、あちらへどうぞ。鍵を掛けてくださいね。
わあ、目の前が竹林。
緑に囲まれて、これは贅沢!露天は癒されるね~
このエリアは底倉温泉と言って、豊臣秀吉が小田原攻めしたときに兵士達の疲れを癒したと伝わる温泉だそうよ。
ちゃんと調べたんだね。えらい!(笑)
源泉かけ流しだって。
(湯を触って)温度は高めだわ。涼みながら入りましょう。
ふぅ、気持ちよかったね。
湯船につかる習慣のある日本人で良かった、って思う。(笑)
うんうん。母屋のサロンで冷たいものを飲もうか。
リフレッシュできましたか?昔からこの底倉温泉は隠れ湯として利用されていたのよ。
(凾嶺オーナーの姉妹に向かって)お二人はこちらで育ったんですか?
そうよ。明治のころに、曾祖父がこの町のために医者として開業してほしいという依頼を受けて、ここに呼ばれたのが始まりなの。今いるサロンは外科治療室だったのよ。
建具も趣がありますね、素敵。
今度はご家族ででもいらっしゃいね。
16:10-16:40 渡邊ベーカリーで名物シチューパン
お腹すいたね。名物シチューパンを食べに行こう!
老舗のパン屋さんね。噂に聞いていたから楽しみだわ~
なんで「温泉」シチューパンなんですか?温泉の湯が使われているとか?
渡邊貞明氏
(以下渡邊)
うちは明治24年創業で、このあたりは昔、温泉村と言われていたんです。その名残で名前に温泉がついています。
箱根駅伝のときは観光協会がこのあたりで観戦する人たちにシチューパンを配るんですよ。
えー、それは来ないと!(笑)
「温泉村」と住所が記載された創業時の営業許可書。梅干しあんぱん(右)も名物
パンが器になっているなんて素敵!
いただきまーす。食べ方がちょっと緊張するわ。
具材が柔らかくて、まろやかなシチューですね。
パンがメインなので、それに合うよう濃いめの味付けにしています。
ああ、おいしい!来れて良かったね。
16:52-17:18 宮ノ下駅から箱根登山鉄道で箱根湯本駅へ
17:25-18:20 帰路 箱根湯本駅からロマンスカーで海老名駅へ
納
この車種、一番新しいGSEだから窓が広い!(*GSEとは、ロマンスカー「Graceful Super Express」の略)
田中
子どもに乗ったっていうと羨ましがられるね。
納
小田急線沿線の子どもたちは、たいていロマンスカーの種類わかるものね。地下鉄(東京メトロ)に乗り入れるからMSEとかね。(*MSEとは、ロマンスカー「Multi Super Express」の略)
田中
大人旅しながらも、やっぱり子どものこと思っちゃうね。私たち、母だわ~。(笑)
納
それにしても乗換までのわずかな時間で、売店に駆け込んで「揚げかま」を買ったみずきさん、おみごとでした!(拍手)
田中
だって、帰りのロマンスカーで今日の思い出の締めをしたかったんだもん。(笑)
二人
箱根の楽しみ方はいろいろあるけれど、今回みたいに行き先を絞って満喫するのは欲張りすぎない贅沢感を味わえた気がします。小田急線沿線ならロマンスカーと箱根登山鉄道は大いに利用しないと!と再認識しました。
この車種、一番新しいGSEだから窓が広い!(*GSEとは、ロマンスカー「Graceful Super Express」の略)
子どもに乗ったっていうと羨ましがられるね。
小田急線沿線の子どもたちは、たいていロマンスカーの種類わかるものね。地下鉄(東京メトロ)に乗り入れるからMSEとかね。(*MSEとは、ロマンスカー「Multi Super Express」の略)
大人旅しながらも、やっぱり子どものこと思っちゃうね。私たち、母だわ~。(笑)
それにしても乗換までのわずかな時間で、売店に駆け込んで「揚げかま」を買ったみずきさん、おみごとでした!(拍手)
だって、帰りのロマンスカーで今日の思い出の締めをしたかったんだもん。(笑)
箱根の楽しみ方はいろいろあるけれど、今回みたいに行き先を絞って満喫するのは欲張りすぎない贅沢感を味わえた気がします。小田急線沿線ならロマンスカーと箱根登山鉄道は大いに利用しないと!と再認識しました。