海老名ミライカイギ第2回プレシニア<前編>

7月4日(火)海老名市リコーフューチャーホール

理想の未来を自分たちでつくるために、フューチャー・ランゲージ=「ミライを語るコトバ」をつくっていこう! そんな想いで語り合う「海老名ミライカイギ」。今回は、50代からのプレシニアが登場です。
仕事で忙しい日々の中でも、これからの人生や地域社会との関わりが気になり始めた今。アクティブ世代が描く理想の暮らしと、その実現を後押しするパワフルなコトバとは?

海老名ミライカイギvol2 海老名ミライカイギvol2

「フューチャー・ランゲージ」とは
「自動車」という言葉ができる前、自動車は「馬なし馬車」と呼ばれていたそうです。「自ら動く車」という考え方がなかった当時の人々は、それを表す言葉を持っていませんでした。でも、もしも先に「自ら動く車があったらいいな」「それを『自動車』って呼ぶのはどう?」なんて会話をしていたら、「馬なし馬車」よりもイメージがふくらんで、自動車の進化は早まったかもしれません。「今ないもの」を表す共通の言葉をつくり、理想の未来をぐっと近づける。それが、フューチャー・ランゲージという考え方です。

ジェネレーター

*「ジェネレーター」とは、ティーチャー(教える人)でもファシリテーター(話を引き出す人)でもなく、「創り出す人」のこと。参加者と一緒にミライのコトバを考えます。

ジェネレーター井庭崇

井庭 崇(いば たかし)

慶應義塾大学総合政策学部准教授。創造的活動を支援する「パターン・ランゲージ」の日本における先駆者であり、未来へ向けて言葉づくりからアプローチする新たな手法「フューチャー・ランゲージ」を提案。産学連携によるワークショップ等で、海老名市をはじめ全国の街づくりなどに携わる。著書に『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』『プロジェクト・デザイン・パターン』等

参加者

岡本 州弘さん

岡本 州弘さん

海老名市在住。東京生まれ。住宅メーカーに勤務した後、2013年に住宅購入の際のアドバイスを行うNPO法人を設立。

押田明子さん

澤村 里美さん

綾瀬市在住。岐阜で生まれ、幼少時に神奈川へ。29歳の長男が独立し、3人の子育ても一段落。パート勤務。

田中 信行さん

田中 信行さん

綾瀬市在住。大阪生まれ。20年前より綾瀬で暮らす。仕事はシステムエンジニア。座っている時間が長いので休日はウォーキング。

山鹿 清美さん

山鹿 清美さん

綾瀬市在住。茅ヶ崎生まれ。夫の両親、兄家族とともに三世帯で暮らす。長女は同居、2人の息子は独立。パート勤務。

サポーター 慶應義塾大学 井庭崇研究会 ゼミ生

隅崎 明子

隅崎 明子

宗像このみ

宗像このみ

岡 柚希

岡 柚希

1. 新しい人が増える中、気になるのは高齢者の暮らし
井庭

こんにちは!井庭と申します。僕はみなさんとお話しながら新しい言葉をつくることで、それを現実化していくお手伝いをしています。例えばここ、「リコー フューチャーハウス」はすべての通路でベビーカーが通りやすいように設計されているんですが、これも「ベビーカーが通りやすい通路を」というお母さんの声から「ベビーカーワイド」という言葉を生み出し、実際に設計に活かしたからなんです。 今日はこれからの海老名市について話し合いながら、理想の現実を引き寄せる「コトバ」をつくっていきましょう。

田中

井庭さんね。「イバちゃん」でもいいかな。それと皆さんの名前もメモしていい?覚えられなくて。

井庭

もちろんです(笑)。ざっくばらんにいきましょう。では、まず黄色の付箋をお渡ししますね。ここに「こんな未来がいいな」と思うことを書いてください。

田中

海老名は今、若い人がたくさん入ってきているよね。一方で高齢者も多いし、孤立する人もいる。コミュニケーションの場ができて、そのへんの融合がうまくいくといいなあ。

澤村

そうですね。私の母も高齢ですから、高齢者の暮らしは気になります。

岡本

サービスの案内があっても、詳しくはホームページをご覧くださいとか、アプリを使ってくれとかね。高齢者はどうやって見るのか、と。そういう世代への心配りがある街がいいね。

山鹿

うちは子どもの手が離れたので、新しい家族としてワンちゃんを迎えているんです。お年寄りも、お子さんが家を出て寂しいのでペットを飼いたいという人が多いんじゃないかなと思います。交流の場にもなるドッグランとかがあるといいですね。

子育ても一段落。介護が始まっている人も。プレシニア世代ならではの視点から、理想の未来を話し合っていきます。

2. 学生とつながって、新しいアイデアを生み出そう!
井庭

高齢者の暮らしについての話がいろいろと出ました。では、みなさんご自身が「こんなのがあったらいいな」と思うものはなんですか?

山鹿

私は、昼間も楽しく飲めるお店が増えたらうれしいですね。介護で夜は出かけられないという人も多いので…。女性は新しいお店ができたら、一度は行ってみたいものだと思うんです。介護する側も、そういう楽しみができたらいいなと思います。

田中

僕は、学生と遊べるコミュニティが欲しいなあ。若い人にいろいろなことを教えてもらう機会が欲しい。そこでいろんなアイデアが生まれて、引退したときに新しいことができるかも。

岡本

俺たちももっと活躍の場が欲しいからね。定年まで働いたら40年。それぞれにノウハウを持っているわけだし。

隅崎

コワーキングスペースのような場でしょうか。

田中

いや、もっとエキサイティングな、ドキドキするような…。でもクリーン。なんというか、クリーンな怪しさ(笑)。ここは外国の人も増えているから、その人たちとも交流したいな。

宗像

学生にとっても楽しそうですね。ここへ来たら面白い人たちがいて、いろいろな話ができるっていうことで。

井庭

うん、面白そうですね!他にありますか?

澤村

 私、星を見るのが好きなんですね。流星を見に行くツアーにも参加したことがあります。タワーマンションのような高層なら街の明かりが届かないから、星空がきれいに見えると聞いて、そういうのにすごく興味があるんですけど…。星を見るイベントを開催して、マンション以外の人にも解放してくれるような、そういう場があったらいいなって。

いいですね。マンションに住む人と地域との交流もできますね。

幅広い世代でつながる、地域でイベントをつくる…。どんどん生まれる「あったらいいな」を黄色の付箋に書いてまとめていきます。

3. 課題は「移動」。公共の交通機関や施設に求めること
井庭

「こうなったらいいな」という理想の未来がたくさん出てきましたね。では次に、「困っていること」を教えてください。ブルーの付箋に書いていきましょう。

澤村

このあたりは車社会ですから、車に乗れない人や、高齢者の移動が不便なんですよね。

山鹿

そうですね。うちはバス停から近いので車の運転が不安になったらバスを使うと思いますけど、乗り換えなどがスムーズにいかない場所もあります。文化会館とかの主要な場所へ行けるコミュニティバスがもっと回っていればいいんですけど…。

澤村

やっと目的地に着いても、車イスだと移動が大変なんですよね。扉の開け閉めひとつとっても、自動ドアならいいけど、内開きのドアは入りにくい。トイレは車イス用があるどうかもチェックしなきゃいけない。「ベビーカーワイド」と同じで、車イスの移動も考慮されていると助かるんですが…。

岡本

僕もいろいろと困っていることはあるけど、解決するのか?ってつい考えてしまうんだよね。うちのカミさんは40代で、周りのママたちと「ママ活」しているんですよ。新しく海老名へ来るママたちはとても洗練されている。彼女たちと意見交換していろいろと展開しているんだけど、行政の制限もあるわけです。改善してほしいことも多いけど、現実的にどう進めるの?って。

井庭

そのための力になるのが、今僕たちが考えているフューチャー・ランゲージ、「ミライのコトバ」なんです。行政を巻き込んだ例もあるんですよ。次はどうしたら実現できるか、こんな仕組みがあればいいんじゃないかというのを考えていきましょう。

困っていることはたくさんあるけれど、簡単には解決しない。だからこそ、その一歩のために活発にディスカッションを重ねていきます。

4. 「エビネーム」で、みんなの距離を縮めよう!
井庭

ここまで出てきた理想の未来をどうやって実現していくか、手段をグリーンの付箋に書いていきます。そして、思いついたらフューチャー・ランゲージもつくりましょう。例えばさっきの、学生とコミュニケーションできる場所から考えてみましょうか。

田中

そうだなあ。大学別に飲み屋とかの店舗をつくってもらって、サークルでやってくれたら面白いんじゃないかな。顧問に経済学の先生をつけてもらって、勉強の場にするとか。

山鹿

そういう場所とか、習い事をする場所とかもそうですけど、オープンになっていると集まりやすいですよね。目に触れやすい、入りやすいところにそんなのがあればいいな。

田中

オープンに、立ち飲み屋でもいいんですけどね(笑)。

井庭

いいですね。それを「立ち飲み屋」のままではなく、何か名前をつけましょう。そうすれば、そのアイデアについて会話ができます。たくさんの人を巻き込んでいけるんです。

岡本

そうだね。やっぱり実現するには、民意だよね。民意を上げるために何をするか。海老名は今、外部から人がたくさん入ってきている。だからまずはその人たちの意見をいっぱい聞きたい。住んで数年もたてばいろいろな課題が出てくるから、その声を大事にして進めていきたいよね。

宗像

新しく入ってくる人ともっと仲良くするとっかかりとして、市役所で転入届とかを提出するときに、ニックネームをつけなきゃいけないっていうのはどうですか? その名前を「エビネーム」と呼ぶんです。「EBINA」プラス「NAME」で、「EBINAME」。

岡本

いいね!僕なら「シュウちゃんって呼んでくれ!」みたいな(笑)。

田中

リングネームみたいな発想ね。それは面白い!

澤村

みなさん、すごいアイデアが出ますね(笑)。 私は世界が狭いのかなあ。なかなか思い浮かびません…。

ピンクの付箋に「ミライのコトバ」を書いていきます。この後、理想の未来を引き寄せるパワフルな言葉がぞくぞくと!

海老名市ならではのニックネーム「EBINAME」。さっそくミライのコトバがひとつ生まれました。アイデアが出ないと言っていた澤村さんですが、会議の後半で皆さんをあっと驚かせる大胆な発想力をみせてくれます。「第4回 プレシニア<後編>」をお楽しみに!

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